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ここに候 "Re-order"

ええ。一人で暮らしますよ。    
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恋続妄想劇場『こいしの恋詩』 
第一話『プロローグ』

第二話『ラブコメにありがちなお色気展開とドタバタ劇』

第三話『まふらの完全試合』

「じゃあ、投げるから。」
「はっ、はひっ」
「なーに、声裏返してんの?」

「おまえ第二話の最後でなにしたか覚えてないのかよ?」
なんてことは言いません。昔の人は言いました「命あっての物種だ」と。

「まずはまっすぐね」

まふらさんは足元をならすと、ふっと息を吐き、大きく振りかぶった。
そして脚を胸まで上げそのまま力強くマウンドを踏みしめる。
一瞬送れて長くてしなやかな腕が振り切られる。
軸足は流れていない。

まふらさんの手を離れたボールはオレのグローブにむかって走る。
きれいな球筋だな。よくテレビで「全国の絶景100選」なんてやってるけど、
ランクインできるな。このまっすぐは。

「第49位の富士山に続きまして、第48位は−冬乃まふらのストレート」
…実にシュールだ。

「次スライダー」
「んっ」
相変わらずよく曲がるスライダーだ。速さもまっすぐと変わらないし。
これがまふらさんの生命線だね。

「フォーク」
「ん」
スライダーほどではないがよく落ちる。十分計算ができる。




それからまふらさんは50球程投げ続けたあと、とてとてと歩いてきて、
すとんとオレの隣に腰をおろした。

「終わり?」
「ん」
「お疲れさま」
「これくらいじゃ疲れない」
「そっか」

やーな女だ。かっこよすぎるぜ。

「ところでさぁ、こいしくん?」
「ん?」
「あのさ?」

どしたんよ。いつになく言い淀んじゃってさ。はっはーん。わかったぞ。

「うんこなら、むこうだよ?」

だから疲れてもないのに切り上げたんだな。
なんだなんだ、かっこいいなんて思って損したぜ。

「…こいしくん、デリカシー足りてない。どこかでチャージしてきた方がいい」

家で「キリッ」 学校でも「キリッ」 遊びでも「キリッ」
電子デリカシーカード『Delica』好評発売中?

「まふらさんはオレへのデレが足りないからチャージしてきなさい!」

DELECAでデレよ?〜ツンっとしてデレよ?〜

「ばーか。デッドボールくらって二週間戦列を離れてしまえ!」

地味ぃーな嫌がらせだな。さすが。

「じゃあトイレじゃないならなんさね?」
「だからね、えっとさ、明日さ、10時からさ、守る会球場でさ、
私のさ、チームのさ、試合がさ、あるんだよね」

国語の授業か!

「おーそうなん?見に行くよ。がんばってくりゃんせよ」
「いいの?!」

かぶりつくように身を乗り出すまふらさん。

「う、うん。いいよ。暇だし」

「暇だし」なんてつけなくてもいいのに。いちいち照れ隠しを入れないとまじめな話ができない自分がいやでいやでしょうがない。でもそんなオレを尻目に、まふらさんはグローブの中のボールを弄びながら、

そっかそっか来てくれるか。よしっ。がんばらんとね。
うんっ、せっかく見に来てくれるんだからね。

と誰に言うでもなく呟いた。そしてぱっと顔を上げるとオレの目をまっすぐ見つめ、
―その目は彼女の投げるストレートより真っすぐできれいで

「明日、晴れるといいね!」



さすがのオレも「雨が降るとボールが滑って投げづらいからな」とは言えなかった。どうやら完全にオレの負けのようだ。

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連続妄想劇場『こいしの恋詩』
第一話

第二話『ラブコメにありがちなお色気展開とドタバタ劇』

From:mafura-huyuno@じぇいほん
sub:無大
キャッチボールしよう。
17時になんでんかんでん公園で。

長い連結受信中を経て届いたメールは突っ込みどころが満載だった。
まふらの「ふ」はfuなのに冬乃の「ふ」はhuであること。
携帯がソフトバンクの前の前であること。
ソフトバンクの二つ前ってホークスで言うと南海だぞ?本拠地大阪だぞ?

まだまだ突っ込んでおきたいところだが時計の表示は16:48。
約束の時間まではあとわずかだ。
「時の番人」を自称するオレが、一方的な約束だろうと女の子との待ち合わせに遅刻するわけにはいかない。突っ込むのは本人の前にしてやろう。きっとあのこも期待していることだろう。

なんでんかんでん公園につくとまふらさんはすでに出来上がっていた。
ありゃ冬ならアンダーシャツから湯気でるな。

「こいしくん、おはよ」
「おう」
「さっそくで悪いけど座って?今日は変化球の確認がしたいんだ」
「はいはい。ってなにしてんの?」

体の前で両腕をクロスさせシャツのすそをひっぱるまふらさん。
男はこのクロスに弱いらしい。かくいうオレもご多分にもれず。

「投げづらいから汗だくのアンダーシャツ替えてるの。こいしくん解説してくれたじゃない。『冬なら湯気が出るほど』って」
「エスパーか!んなことよりこんなとこで嫁入り前の娘っこが肌をさらすでない!」
「ここにはさ、こいしくんしかいないよ?それに嫁入り後の方がまずくない?」
「そりゃそうだけどさ」
「もしかして照れてるの?こいしくんの情緒は小学生並みなの?」

どこの生徒会長だよ?
表情を変えずにこともなげに話すもんだからあたふたしている自分が余計恥ずかしくなる。
ちっやられっぱなしで終われるか。

「そうだよな。そんな絶壁貧ぬー見たところで、どうもこうもならんさね。
 気にしたオレが馬鹿だった。」

………

「ひ、貧ぬーじゃないもん!落としたんだもん!あんなもんヘッドスライディングするときにじゃまだもん。際どいタイミングでファーストベースを陥れられないもん!緊迫した試合では、そういうひとつの出塁が試合を動かすの!村松有人だって、後藤孝志だって、屋敷要だってそーゆーに決まってるもん。だいたい男はみんなそう、あんなもんに騙されちゃってさ。ホント馬鹿。馬鹿ばっか」

まずい。こいつぁまずい。
オレが照れ隠しで放った小さな反撃はまふらさんにとって“つうこんのいちげき”だったようだ。ここはベホマ級のフォローが必要だ。よしっ。



「ファーストベースはさ、ヘッドスライディングするよりも駆け抜けたほうが速いよ?」



ブチン。
アキレス腱が断裂したような音をたててまふらさんの堪忍袋の緒が切れた。

数年後、柿喰家こいしはこのことを思い出してこう語る。

「両足のアキレス腱が切れたほうがましだったでござるよ」


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連続妄想劇場『こいしの恋詩』
第一話『プロローグ』

「笑わない女はりそな銀行より損しているぞ。」

柿喰家こいし(かきくけこいし)二十歳。レフト方向のホームランより、ライト前ヒットに美学を感じるいぶし銀。趣味送りバント。パワプロでもバントを多用するため「森祗晶野球の最後の継承者」と呼ばれ忌み嫌われている。
目の前にいる、いつも図書館でつまらなそうに本を読んでいる女とともに、単純ミスで大損害をおったりそな銀行を斬るという社会派ギャグをぶちかます。


「りそな銀行って古いよね。確かにライブドアじゃひねりがないけど、ひねりすぎて伝わらないよりはずっとましよ。」


冬乃まふら(ふゆのまふら)おそらく二歳上。我らが右利き大学、唯一の両利きにして最大の頭脳。超ウルトラ級の美人だが、北村弁護士も裸足で逃げ出すほどの無表情LADY。華奢な体からは想像もつかない130舛鯆兇┐襯好肇譟璽箸函▲好肇譟璽箸畔僂錣蕕迷度の高速スライダーで春の球技大会で大旋風を巻き起こし「右大の河原」と称される。しかしこいしとの対戦成績は三打数二安打。

「ライブドアもだめ、りそな銀行もだめ。じゃあなにがいい?」
「東横インかな。」
東横インね。なるほどそいつはいい。でも待てよ?今、オレ…え〜?
「なによ?鳩がアームストロング砲くらったような顔して。」
「それ、りそな銀行よりひねりすぎてわからんぞ。だいたい鳩がアームスロング砲なんかくらったら跡形も残らないから表情どころじゃないわ。」
「いいの、きみならわかるでしょ?それに鳩の表情なんて変化ないから。」
「それもそっか。」
「それよりどうしたのよ?急に“鳩が豆鉄砲くらったような顔して”これでいい?」
「いやさ、あんた冬乃まふらだよな?」
「そうだけど。」
「じゃあさ、自分に対する世間のイメージ知ってるだろ?」
「知ってるけど興味ない。」

うわっ、『冬乃まふら』だ。

「でもさあの冬乃まふらがこんなこと考えているなんて驚いた。」
「イメージなんてそんなもの。」
「でもやっぱり笑わないな。」

ここまでまったく表情の変化なし。

「ほっといてよ。で?」
「でって?」
「鈍いわね。名前はなんていうの?三打数二安打くん?」
「覚えてたのかよ。」
「悔しかったから。」
「でも次のバッターは完璧に抑えてたじゃんか。」
「あんなの余裕よ。あんなドアスイングのやつなんて。」
「そうか。よく見てるな。」
「きみに打たれた二本目なんてスライダーよ。わたし球技大会如きで、わたしのスライダーが打たれるなんて思わなかった。夜眠れなかったんだから。」
「たまたま飛んだ方向がよかっただけだよ。」
「そんなのうそ。きみ狙ってたでしょ?流し打ち。」
「まぁ、いぶし銀だからね。」
「次は抑えるから。って違う!名前は?」
「長い乗りツッコミだったな。ごくろうさん。オレの名前は柿喰家こいし。」
「柿喰家くんかぁ。」
「柿喰家くんって言いづらいだろ。もっとフレンドリーに『こいしくん』とかでいいよ」
「だいじょうぶ。わたし、かつぜちゅいいから。」
「そこでかむなよ」
「そ、そうだよね。かつぜちゅだって。あはははは。」
「バカ、言うなよ。アハハハハ。」



その日二人は、司書さんに怒られるまで、笑い続けた。




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